臨床神経学

症例報告

骨格筋でのみアミロイドの沈着を確認しえたアミロイドーシスの1例

大塚 喜久1)*, 安井 直子1), 関口 兼司1), 古和 久朋1), 西野 一三2), 苅田 典生1), 戸田 達史1)

Corresponding author: 神戸大学大学院医学研究科神経内科学〔〒650―0017 兵庫県神戸市中央区楠町7―5―2〕
1)神戸大学大学院医学研究科神経内科学
2)国立精神・神経医療研究センター神経研究所疾病研究第一部

症例は75歳男性,7カ月前から進行する歩行障害を主訴に入院した.両下肢近位筋優位の四肢筋力低下と腱反射低下をみとめた.血清免疫電気泳動検査でIgAλ型M蛋白が陽性,骨髄中に形質細胞の単クローン性増加をみとめIgA型多発性骨髄腫と診断した.CTにて異常がみられた外側広筋の筋生検ではring fiber様の異常筋線維をみとめ,その細胞質周囲はCongo redで染色され,アミロイドミオパチーと診断した.多発性骨髄腫にともなう貧血・腎障害・骨病変などの臓器障害はみとめず,心筋・直腸粘膜および腓腹神経の生検ではアミロイドの沈着を証明できなかった.本例は骨格筋においてのみ証明しえたアミロイドーシスであった.
Full Text of this Article in Japanese PDF (891K)

(臨床神経, 52:739−743, 2012)
key words:アミロイドミオパチー,アミロイドーシス,多発性骨髄腫

(受付日:2011年5月23日)