臨床神経学

原著

岡山大学神経内科における遺伝子検査1,000件の臨床疫学的解析

亀 さつき, 池田 佳生, 阿部 康二

Corresponding author: 岡山大学大学院医歯薬総合研究科脳神経内科学〔〒700―8556 岡山県岡山市北区鹿田町2―5―1〕
岡山大学大学院医歯薬総合研究科脳神経内科学

神経内科診療における遺伝子検査の役割・意義を検討する目的で,1992年から2010年に検査を実施した1,000件について,前期(1992〜2000年)と後期(2001〜2010年)に分けて解析した.検査数は前期669件,後期331件で,1患者当りの依頼項目数は前期より後期で減少したが,逆に陽性率は前期25.3%に対して,後期48.1%といちじるしく上昇した.この理由として,2001年から検査適応のより厳格な検討と,適切な検査実施を依頼医へ注意喚起したことが挙げられた.神経内科診療における遺伝子検査の果たす役割は大きく,症例ごとに臨床的意義を十分に考慮し,慎重かつ適切に検査を施行することが重要である.
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(臨床神経, 51:471−477, 2011)
key words:遺伝子検査,遺伝性神経疾患,トリプレット・リピート病,脊髄小脳変性症,臨床疫学

(受付日:2011年2月1日)