臨床神経学

症例報告

難治性吃逆・嘔吐で発症し,意識障害,呼吸障害,眼球運動障害を呈し,広範な脳幹病変をみとめた抗アクアポリン4抗体関連疾患の1例

甲斐 太, 田島 誠一郎 ,荒田 仁 ,林 茂昭 ,長堂 竜維 ,丸山 芳一

Corresponding author: 今給黎総合病院神経内科〔〒892―8502 鹿児島県鹿児島市下竜尾町4―16〕
今給黎総合病院神経内科

難治性吃逆・嘔気で発症し,意識障害,呼吸障害,眼球運動障害を呈し,広範な脳幹病変をみとめた抗アクアポリン4(AQP4)抗体陽性例を経験した.症例は45歳女性で,約1カ月間,悪心・嘔吐が持続した後,意識,呼吸状態の悪化をきたした.髄液検査は異常なく,頭部MRIでは延髄被蓋部に病変をみとめた.ステロイドパルス療法により,翌日より意識レベルは軽快するも,呼吸状態は悪化し,広範な脳幹病変をみとめた.プレドニゾロン(PSL)静注,免疫グロブリン静注療法(IVIg)にて徐々に症状の改善をみとめた.ほぼ治癒したが,約10カ月後に3椎体以上の頸髄炎で再発し,ふたたびステロイドパルス療法,PSL内服,IVIgにて軽快した.
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(臨床神経, 51:255−260, 2011)
key words:難治性吃逆・嘔気,延髄病変,抗アクアポリン4抗体,抗AQP4抗体関連疾患,免疫グロブリン静注療法

(受付日:2010年7月14日)