臨床神経学

症例報告

低カリウム血性ミオパチーにより首下がりを呈した2症例

谷口 浩一郎1)2)*, 沖野 巌1), 山本 伸昭2), 松本 真一1), 立花 直子1), 濱野 利明1)

Corresponding author: 徳島大学医学部神経内科〔〒770―8503 徳島県徳島市蔵本町3丁目18番5号〕
1)関西電力病院神経内科
2)徳島大学医学部神経内科

後頸部筋に限局した低カリウム血性ミオパチーにより首下がりを呈した2症例を経験した.症例は78歳の女性と85歳の女性で,後頸部筋に限局した筋力低下のため首下がりを呈していた.血清カリウムは低値で,針筋電図で頸椎傍脊柱筋に筋原性変化をみとめた.MRIでは後頸部筋群に信号変化をみとめた.血清カリウムの正常化とともに,首下がりは消失した.このうち1例では,首下がりが再発し,同時に血清カリウム値も低下していた.首下がりの鑑別診断として低カリウム血症による限局性のミオパチーも考慮する必要がある.
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(臨床神経, 51:110−113, 2011)
key words:首下がり,低カリウム血性ミオパチー,MRI,針筋電図

(受付日:2010年6月3日)