臨床神経学

症例報告

Rituximabにより早期の治療効果がみとめられた抗myelin-associated glycoprotein(MAG)抗体をともなうニューロパチーの1例

本山 りえ1), 山川 健太郎1), 鈴木 聖子2), 楠 進2), 田中 正美1)*

Corresponding author: NHO 宇多野病院多発性硬化症センター〔〒616―8255 京都市右京区鳴滝音戸山8〕
1)NHO 宇多野病院多発性硬化症センター
2)近畿大学医学部神経内科

抗MAG抗体をともなう脱髄性ニューロパチー患者の58歳,男性へのrituximab治療経過を報告した.初回投与後から振動覚と2点識別覚の改善があり,抗SGPG抗体のOD値は1,600倍希釈で0.554から4カ月後に0.307へ低下し,7カ月後にはロンベルグ徴候が陰性化した.本症へのrituximab治療は非可逆的な変化が生じる前の発症早期におこなうべきと考えられた.2点識別覚が治療経過の指標として有益であり,本例での治療効果の早期発現は,髄鞘再生では説明できず,他の因子の関与を示唆すると考えられた.
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(臨床神経, 51:761−764, 2011)
key words:脱髄性ニューロパチー,リツキシマブ,2点識別覚,感覚性失調,myelin-associated glycoprotein

(受付日:2011年5月28日)