臨床神経学

原著

筋萎縮性側索硬化症におけるFrontal Assessment Batteryによる前頭葉機能評価

寺田 達弘1)2)*, 小尾 智一1), 宮嶋 裕明2), 溝口 功一1)

Corresponding author:浜松医科大学第一内科〔〒431-3192 浜松市東区半田山1-20-1〕1)独立行政法人国立病院機構静岡てんかん・神経医療センター神経内科2)浜松医科大学第一内科

Frontal Assessment Battery(FAB)をもちいて筋萎縮性側索硬化症(ALS)の前頭葉機能を評価した.対象はMMSEが24点以上で,発語と上肢の運動が十分に保たれ,呼吸困難をみとめない孤発性ALSの24例である.FABの結果を健常対照群と比較するとともに,ALS Functional Rating Scale(ALSFRS)および呼吸機能との相関の有無を検討した.ALS群ではFABの点数が健常対照群と比較して有意に低下しており,とくに類似性の理解と語の流暢性の低下が明らかであった.また,FABの点数はALSFRSおよび呼吸機能との間に相関をみとめなかった.以上よりALSには前頭葉機能障害が存在すると考えられた.
Full Text of this Article in Japanese PDF (353K)

(臨床神経, 50:379−384, 2010)
key words:筋萎縮性側索硬化症(ALS), Frontal Assessment Battery(FAB), 前頭葉機能

(受付日:2009年8月19日)