臨床神経学

第51回日本神経学会総会

<シンポジウム21―1>神経内科の教育プログラムはいかにあるべきか
神経内科教育にICTは使えるか?-その方法と問題点

天野 隆弘

国際医療福祉大学医学教育研修センター〔〒107―0062 東京都港区南青山1の24の1アミティ乃木坂国際医療福祉大学東京事務所内〕

ICT(Information and Communication Technology)の進歩は目覚ましい.ICTの進歩でインターネットをかいし,PC,iPod,iPad,携帯など情報端末を利用した学習環境は大きく変化している.この技術を幅広く利用した神経内科領域での教育教材開発や利用環境の整備が望まれる.神経内科の教育対象には,不随意運動,表情,歩行など一度眼にしていると診断が容易なものが少なくない.頻繁に遭遇するものからまれにしか遭遇しないものまで,その学習の対象は幅が広い.まれなものを有効にICTを利用してまんべんなく学習できれば,教育効率もよい.神経内科領域の救急対応教育には,シミュレータを利用して一応の知識を習得させ,技術レベルを確保する様にできる.多くの研修医,専門医にICTをもちいて救急教材を提供することが必要である.これらの教材整備やシミュレーション教育の教材は,新たな作成ばかりでなく,各施設の手持ちの教材,動的画像,地方会での発表物などを,学会主導で集中管理して,学会員すべてが自由にお互いに利用可能にすることで,有効な学習ができる.この環境整備,電子アーカイブ作りが望まれる.これらの利用には,著作権,個人情報保護,肖像権などをふくめた法的問題のクリアーが必要である.学会が主導してこれらの条件をクリアーし,情報時代に合った,法を順守した教材処理,教材集積とその利用を可能にすることが望ましい.会員全員が利用できるe-learning環境,そのシステム構築が望まれる.
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(臨床神経, 50:1034−1036, 2010)
key words:ICT,シミュレーション,電子アーカイブ,情報端末,e-learning

(受付日:2010年5月22日)