臨床神経学

短報

首下がりを主徴とし舌萎縮を呈した全身性強皮症関連ミオパチーの1例

吉長 恒明, 宮崎 大吾, 福島 和広, 下島 恭弘, 松田 正之, 池田 修一

Corresponding author: 信州大学脳神経内科,リウマチ・膠原病内科〔〒390―8621 長野県松本市旭3―1―1〕
信州大学脳神経内科,リウマチ・膠原病内科

症例は73歳男性である.68歳時より四肢近位筋の筋力低下,首下がり,体重減少,皮膚硬化が緩徐に進行し,当院を受診した.顔面,頸部,上肢の高度な皮膚硬化,頸部,舌,四肢近位筋優位の全身性筋萎縮をみとめた.線維束性収縮はみとめず,深部腱反射は低下.病的反射は陰性.感覚障害はみとめなかった.血清CK値は321IU/lと軽度に上昇し,抗核抗体は陽性(5,120倍,核小体型).針筋電図にて全被検筋に筋原性変化が示され,全身性強皮症に全身性強皮症関連ミオパチーが合併したものと診断した.本症で首下がりや舌萎縮をふくむ高度の全身性筋萎縮を呈する例はまれであるが,筋萎縮症例の鑑別において留意すべき疾患と考えられた.
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(臨床神経, 50:732−735, 2010)
key words:全身性強皮症,全身性強皮症関連ミオパチー,首下がり

(受付日:2010年5月26日)