臨床神経学

症例報告

非けいれん性てんかん重積状態をくりかえした成人発症II型シトルリン血症の1例

舟邉 さやか1), 田中 亮太1)*, 卜部 貴夫1), 川崎 誠二2), 小林 圭子3), 服部 信孝1)

Corresponding author:順天堂大学脳神経内科〔〒113-8421 東京都文京区本郷2-1-1〕
1)順天堂大学医学部脳神経内科
2)同 肝胆膵外科
3)鹿児島大学大学院医歯学総合研究科分子病態生化学

症例は47歳女性.41歳ごろより異常行動と意識障害をくりかえし,脳波異常と高アンモニア血症を指摘されていた.高アンモニア血症に加えて,血漿シトルリン,アルギニンの上昇をみとめたため,成人発症II型シトルリン血症(CTLN2)をうたがい遺伝子検査をおこない,CTLN2と診断した.異常行動と意識障害は血漿アンモニア値とは必ずしも相関せず,脳波上てんかん重積状態を示すことが多く,非けいれん性てんかん重積状態の関与が考えられた.CTLN2の異常行動や意識障害の原因として高アンモニア血症以外にてんかん重積が関与している可能性があり,適切な脳波検査が治療上重要と考えられた.
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(臨床神経, 49:571−575, 2009)
key words:成人発症II型シトルリン血症, 非けいれん性てんかん重積状態, 意識障害

(受付日:2008年11月25日)