臨床神経学

症例報告

抗GM1/GalNAc-GD1a複合体抗体陽性で,伝導ブロックを呈した純粋運動型Guillain-Barré症候群の1例

小川 剛, 海田 賢一, 汐崎 祐, 荒木 学, 木村 文彦, 鎌倉 惠子

Corresponding author:防衛医科大学校内科3〔〒359-8513 埼玉県所沢市並木3丁目2番地〕
防衛医科大学校内科3

症例は純粋運動型Guillain-Barré症候群を呈した38歳男性である.上気道炎後に脳神経麻痺および感覚障害をともなわず遠位優位の四肢筋力低下を呈し,腱反射はアキレス腱反射のみ消失していた.GM1とGalNAc-GD1aから成る複合体に対するIgG抗体が陽性で,病初期に運動神経の神経幹中間部に部分伝導ブロックをみとめたが早期に回復し再髄鞘化を示す所見をみとめなかった.GM1,GalNAc-GD1aが局在するとされる運動神経ランビエ絞輪軸索膜においてGM1/GalNAc-GD1a複合体が形成され,標的抗原となっている可能性がある.本例の伝導ブロックは絞輪部軸索の機能的障害にともなう伝導ブロックの可能性がある.
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(臨床神経, 49:488−492, 2009)
key words:Guillain-Barré症候群, 伝導ブロック, GM1, GalNAc-GD1a, ガングリオシド複合体

(受付日:2009年4月16日)