臨床神経学

短報

髄液をもちいてinterferon-gamma release assayを検討した結核性髄膜炎の1例

内堀 歩1)*, 宮崎 泰1), 有賀 晴之2), 千葉 厚郎1)

Corresponding author:杏林大学医学部付属病院第一内科(神経内科)〔〒181-8611 東京都三鷹市新川6-20-2〕
1)杏林大学神経内科
2)国立病院機構東京病院呼吸器内科

結核菌特異的抗原をもちいた末梢血によるinterferon-gamma release assay(IGRA)は感度・特異度にすぐれた結核感染の迅速診断法である.結核性髄膜炎が強くうたがわれた一症例において末梢血および髄液のIGRAをおこなった.末梢血IGRAは抗結核治療開始約40日後において陽性であったが,治療を継続した約100日後には低下し,治療終了約1年後にはさらに低下した.治療開始40日後においても髄液細胞数は増加しており,髄液単核球をもちいてIGRAを検討した.無刺激の髄液においてもinterferon-gamma(IFN-γ)濃度は高値を示し,なおかつ結核菌特異的抗原刺激によりIFN-γ値はさらに上昇した.末梢血IGRAと併せて髄液のIGRAを測定することにより,中枢神経系での活動性の結核感染の診断に有用である可能性が考えられた.
Full Text of this Article in Japanese PDF (266K) 会員限定

(臨床神経, 49:428−431, 2009)
key words:結核性髄膜炎, インターフェロンγリリースアッセイ

(受付日:2008年7月30日)