総説
多系統萎縮症の臨床
西澤 正豊*, 下畑 享良
*Corresponding author:新潟大学病院脳研究所臨床神経科学部門神経内科学分野〔〒951-8585 新潟市中央区旭町通1番町757〕
新潟大学脳研究所神経内科
本小論では,多系統萎縮症MSAの臨床に関する最近のわれわれの研究結果を紹介する.まず新潟大学脳研究所病理学分野に集められた連続剖検例の後方視的解析から,日本人MSAの特徴として,小脳症状が優位であるMSA-Cが3分の2を占めること,自律神経症状が早期から出現するほど進行も早く,自律神経症状の出現時期が進行の指標となることを示した.また,MSAに多いとされる夜間の突然死の実態を検証し,その予防を目的として行っている睡眠負荷喉頭内視鏡検査をふくむ包括的な臨床研究の結果から,声帯外転麻痺による声帯部の閉塞以外にも,上気道の狭窄・閉塞は披裂部や喉頭蓋などでも生じていること,MSAではAaDO2が拡大していることなどを明らかにした.さらに,マスクによる非侵襲的持続陽圧換気や人工呼吸器の適応を決め,突然死を防ぐためのわれわれの試みについても紹介する.
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(臨床神経, 49:249−253, 2009)
key words:多系統萎縮症, 自然史, 睡眠呼吸障害, 突然死
(受付日:2009年2月6日)