臨床神経学

症例報告

Leucine-rich glioma-inactivated 1LGI1)変異をともなう常染色体優性外側側頭葉てんかんの1例

藤田 祐之1), 池田 昭夫1)*, 門野 賢太郎1), 川又 純1), 冨本 秀和1), 福山 秀直2), 高橋 良輔1)

Corresponding author:京都大学大学院医学研究科臨床神経学〔〒606-8507 京都市左京区聖護院川原町54〕
1)京都大学大学院医学研究科臨床神経学(神経内科)
2)同 高次脳機能総合研究センター

Leucine-rich glioma-inactivated 1LGI1)変異をともなう常染色体優性外側側頭葉てんかん(ADLTE)の1例を報告した.症例は27歳女性で,初回発作は睡眠中の全身けいれんであった.以後の発作は耳鳴りなどの聴覚症状が特徴的であった.またパニック発作などの精神症状,視覚症状,自律神経症状をともなった.母系家系の常染色体優性遺伝と考えられる家族歴がみられた.発作間欠期の脳波ではてんかん性放電をみとめず,頭部MRIで左上側頭回の低形成,FDG-PETでは左側頭葉外側での糖代謝低下をみとめた.LGI1遺伝子解析によってミスセンス変異(1642C→T;Ser473Leu)が確認された.本邦ではLGI1変異をみとめたADLTEの報告は今だ希有である.
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(臨床神経, 49:186−190, 2009)
key words:外側側頭葉てんかん, leucine-rich glioma-inactivated 1(LGI1), 聴覚症状, パニック発作, 精神症状

(受付日:2008年11月4日)