症例報告
肺炎球菌性髄膜脳炎治療後に急性散在性脳脊髄炎様症状を呈した1例
上田 真努香*, 金森 亜矢, 三原 貴照, 原 英夫, 武藤 多津郎
*Corresponding author:藤田保健衛生大学医学部神経内科〔〒470-1101 愛知県豊明市沓掛町田楽ヶ窪1丁目98〕
藤田保健衛生大学医学部神経内科
症例は58歳男性で,高熱と意識障害で搬送された.所見より髄膜脳炎をうたがった.髄液検査では多核球優位に細胞数増加をみとめ,蛋白は増加し,糖は感度以下であった.細菌性髄膜脳炎の診断で加療し,症状は改善した.しかし第9病日に突然左顔面と左上下肢の麻痺を発症し,頭部MRI所見より脳梗塞の合併をうたがい加療した.その後も症状の増悪をみとめ,第22病日の頭部MRIでは同部位に腫瘤性高信号域をみとめた.急性散在性脳脊髄炎をうたがいステロイド療法をおこなったところ,症状が改善し病巣の消退をみとめた.細菌性髄膜脳炎に急性散在性脳脊髄炎を合併したと考えられた.文献的考察を加え,報告する.
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(臨床神経, 49:96−99, 2009)
key words:肺炎球菌性髄膜脳炎, 急性散在性脳脊髄炎, MRI, ステロイドパルス療法
(受付日:2007年12月19日)