臨床神経学

総説

高次脳機能障害の診方

鈴木 匡子

Corresponding author:山形大学大学院医学系研究科高次脳機能障害学〔〒990-9585 山形市飯田西2-2-2〕
山形大学大学院医学系研究科高次脳機能障害学

大脳の機能を知るためには,高次脳機能の系統的な診察が欠かせない.高次脳機能は背景症状と局所症状に分けて考えると理解しやすい.背景症状として,全般性注意障害,見当識障害,情動変化など全体像をとらえたうえで,個々の局所症状の診察に入る.局所症状としては,言語,計算,行為など主に左半球が司っている機能と,視空間機能,方向性注意など主に右半球が司っている機能について検討する.記憶は両半球が関わるが,障害側や部位により質的特徴がことなる.高次脳機能障害を的確に把握することは,大脳の機能低下の範囲や経時的変化を知るのに役立つ.さらに,ヒトでしか検討できない言語など複雑な機能の神経基盤を探る手がかりになる.
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(臨床神経, 49:83−89, 2009)
key words:高次脳機能, 神経心理学的検査

(受付日:2008年12月10日)