臨床神経学

症例報告

臨床的に三好型ミオパチーを呈した肢帯型筋ジストロフィー2A型の1例

白藤 俊彦1)*, 大塚 喜久1), 小別所 博1), 南 成祐2), 林 由起子3), 西野 一三3), 苅田 典生1)

Corresponding author:神戸大学神経内科〔〒650-0017 神戸市中央区楠町7-5-2〕
1)神戸大学医学部内科神経内科部門
2)国立精神・神経センター武蔵病院DNA診断・治療室
3)国立精神・神経センター神経研究所疾病研究第一部

症例は23歳の女性である.18歳時に高CK血症(最高値:9,620 IU/l)を指摘され,筋CTでは大臀筋,大腿二頭筋,腓腹筋内側頭の筋脂肪置換をみとめた.筋脂肪置換の程度は腓腹筋内側頭がもっともいちじるしく,左上腕二頭筋生検では筋線維の大小不同,軽度の壊死・再生線維をみとめたが,炎症細胞浸潤,rimmed vacuoleはみとめなかった.臨床的には三好型ミオパチーがうたがわれたが,遺伝子診断でカルパイン3遺伝子異常をみとめ,肢帯型筋ジストロフィー2A型と診断した.臨床的に三好型ミオパチーと考えられる症例の中にカルパイン3遺伝子異常による症例もあり,鑑別診断の1つとして考える必要がある.
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(臨床神経, 48:651−655, 2008)
key words:カルパイン3遺伝子変異, 三好型ミオパチー, 肢帯型筋ジストロフィー2A遺伝子解析

(受付日:2008年4月25日)