臨床神経学

総説

てんかんの治療

辻 貞俊, 赤松 直樹

Corresponding author:産業医科大学神経内科〔〒807-8555 北九州市八幡西区医生ヶ丘1-1〕
産業医科大学神経内科

てんかんは,日本で100万人の患者が存在する有病率の高い慢性神経疾患である.抗てんかん薬治療で約70%の患者で発作が完全に抑制され,内科的治療効果が高い.現時点では,部分発作にはカルバマゼピン,全般発作にはバルプロ酸が推奨されているが,患者固有の条件を考慮した薬剤の選択が求められる.新規抗てんかん薬は,忍容性と薬剤相互作用の点ですぐれており未承認薬の早期承認が待たれる.妊娠可能年齢の女性,高齢者,思春期患者の治療にはそれぞれの配慮が必要である.難治性てんかんの一部はてんかん外科治療で大きな治療効果がえられるようになってきている.手術で治るてんかんを早期に診断することが求められる.
Full Text of this Article in Japanese PDF (438K)

(臨床神経, 48:550−555, 2008)
key words:てんかん, てんかん発作, 抗てんかん薬, てんかん外科

(受付日:2008年6月6日)