臨床神経学

総説

先天性筋ジストロフィーとα-dystroglycanopathy

斉藤 史明, 松村 喜一郎, 萩原 宏毅, 清水 輝夫

Corresponding author:帝京大学医学部附属病院神経内科〔〒173-8605 板橋区加賀2-11-1〕
帝京大学神経内科

先天性筋ジストロフィーには様々な病型が知られている.我が国において高頻度に発症する福山型先天性筋ジストロフィーにみられるように,筋ジストロフィーに脳奇形や眼球異常を合併するものが多く存在する.近年,先天性筋ジストロフィーの多くの病型でジストロフィン糖蛋白複合体の構成蛋白質であるα-dystroglycanの糖鎖修飾の異常が明らかとなり,これらの疾患はα-dystroglycanopathyと総称される.また,多くの病型で遺伝子異常が報告されたが,一つの遺伝子異常がこれまで考えられていたよりもはるかにスペクトラムの広い臨床像を呈することが明らかとなりつつある.本総説では,α-dystroglycanopathyの分子病態と遺伝子異常に基づいた臨床病型を中心に概説する.
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(臨床神経, 48:543−549, 2008)
key words:先天性筋ジストロフィー, α-dystroglycanopathy, dystroglycan, 糖転移酵素, O-mannosylglycan

(受付日:2008年6月3日)