臨床神経学

症例報告

MRI拡散強調画像にてくも膜下腔に高信号域をみとめたリウマチ性髄膜炎の1例―FLAIR画像との比較―

松浦 大輔1)2), 大下 智彦1), 永野 義人1), 大槻 俊輔1), 郡山 達男1), 松本 昌泰1)

1)広島大学大学院脳神経内科学〔〒734-8551 広島県広島市南区霞1-2-3〕
2)現 慶応義塾大学リハビリテーション医学教室

症例は63歳男性である.47歳時に関節炎と皮膚潰瘍を発症し,血管炎をともなう慢性関節リウマチ(悪性関節リウマチ)と診断され,プレドニゾロンとシクロスポリンAの内服治療を受けていた.今回,頭痛,痙攣を主訴に来院し,リンパ球優位の髄液細胞数増多,頭部MRIで左大脳半球の脳表に限局した病変をみとめた.病変部位はFLAIR画像にて高信号を呈し,病変の一部は拡散強調画像でも高信号を呈した.ステロイドパルス療法をおこない,症候,検査所見とも改善した.リウマチ性髄膜炎はまれな疾患であるが,一側テント上に限局する軟膜病変を呈しやすく,本例ではFLAIR画像と拡散強調画像の併用が病変の経時的な評価に有用であった.
Full Text of this Article in Japanese PDF (434K)

(臨床神経, 48:191−195, 2008)
key words:リウマチ性髄膜炎, 慢性関節リウマチ, 肥厚性硬膜炎, MRI拡散強調画像, 血管炎

(受付日:2007年4月27日)