臨床神経学

総説

ラスムッセン脳炎と非ヘルペス性急性辺縁系脳炎

高橋 幸利, 久保田 裕子, 山崎 悦子, 松田 一己

国立病院機構 静岡てんかん・神経医療センター〔〒420-8688 静岡市葵区漆山886〕

感染後にグルタミン酸受容体(GluR)自己免疫に関係した病態を呈するラスムッセン脳炎と非ヘルペス性急性辺縁系脳炎について,われわれの知見を中心に概説した.
ラスムッセン脳炎では細胞障害性T細胞の関与を主体に,抗GluR3抗体,抗GluRε2抗体などの自己抗体,サイトカインなどが病態メカニズムに関係していると考えられる.
若年成人の非ヘルペス性急性辺縁系脳炎では,急性期にN末エピトープを有する抗GluRε2抗体などが血液脳関門の破綻などにより中枢神経系にいたり何らかの急性期脳炎症状に寄与するが,回復期・慢性期になると血液脳関門の回復により髄液中から消失する病態メカニズム仮説を考えている.
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(臨床神経, 48:163−172, 2008)
key words:ラスムッセン症候群, 細胞障害性T細胞, 自己抗体, グルタミン酸受容体, 急性辺縁系脳炎

(受付日:2008年1月8日)