臨床神経学

症例報告

ビタミンB6欠乏により遅発性に持続性部分てんかんを呈したテオフィリン関連痙攣の81歳女性例

桑原 宏哉1)2), 野口 悦正1), 稲葉 彰1), 水澤 英洋2)

1)国家公務員共済組合連合会 横須賀共済病院 神経内科〔〒238-8558 神奈川県横須賀市米が浜通1-16〕
2)東京医科歯科大学大学院 脳神経病態学〔〒113-8519 東京都文京区湯島1-5-45〕

複雑部分発作にて来院した81歳女性である.頭部MRI拡散強調画像で右側の大脳皮質・視床に高信号病変,脳波で周期性一側性てんかん発射(PLEDs),脳血流シンチで同側の血流増加をみとめた.治療血中濃度域にあったものの,2カ月前より内服していたテオフィリンによる痙攣と診断.同薬剤を中止して病状は改善した.その後,2日間の下痢を生じた後よりふたたび部分発作が出現した.血清ビタミンB6が測定感度以下であり,混合ビタミンB製剤の投与にて痙攣はすみやかに消失した.テオフィリン投与下では血中濃度に関係なく痙攣を誘発しうること,およびテオフィリン関連痙攣の症例ではビタミンB6欠乏状態が存在しうることに留意すべきである.
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(臨床神経, 48:125−129, 2008)
key words:テオフィリン関連痙攣, ビタミンB6, 痙攣重積, 部分発作, 周期性一側性てんかん発射

(受付日:2007年7月2日)