臨床神経学

第49回日本神経学会総会

<シンポジウム2-3>神経変性疾患研究の焦点―新たな病的因子の登場と臨床への展望―
アルツハイマー病治療を目指したγ-セクレターゼの構造活性相関の理解

富田 泰輔

東京大学大学院薬学系研究科臨床薬学教室〔〒113-0033 東京都文京区本郷7-3-1〕

遺伝学・生化学的解析から,アミロイドβ蛋白(Aβ)産生および蓄積過程がアルツハイマー病発症機序に深く関与していることが示唆されており,脳内におけるAβの存在量および蓄積過程の制御は,発症機序に基づいたdisease-modifying therapyとなることが期待されている.γ-セクレターゼはAβ産生経路においてC末端側の切断に関与し,Aβの凝集性を決定することから,重要な創薬標的分子と考えられてきた.近年になり,γ-セクレターゼの分子的な実態が明らかとなり,その酵素学的な解析と相まって,特異的な阻害剤がAD治療薬として開発され始めている.したがってγ-セクレターゼの構造活性相関の理解は特異的な活性を持つ化合物のラショナルデザインにつながる可能性があると考えられる.
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(臨床神経, 48:907−909, 2008)
key words:アルツハイマー病, アミロイドβペプチド, アミロイドβペプチド前駆体, γ-セクレターゼ阻害剤, γ-セクレターゼモジュレーター

(受付日:2008年5月16日)