臨床神経学

原著

神経難病患者における経皮内視鏡的胃瘻造設術の最近の動向―対象疾患,合併症,予後についての検討―

清水 俊夫1)2), 花岡 拓哉2)*, 林 秀明1)2), 井上 仁3), 今村 和広3), 小柳 清光4)5)

1)東京都立神経病院NST〔〒183-0042 東京都府中市武蔵台2-6-1〕
2)東京都立神経病院脳神経内科
3)東京都立府中病院外科
4)東京都立神経病院検査科病理
5)東京都神経科学総合研究所神経病理学研究部門
現 大分大学医学部附属病院神経内科

神経難病における経皮内視鏡的胃瘻造設術(PEG)の最近の動向(合併症,呼吸補助の有無,予後)について調査をおこなった.対象はPEGを造設した神経疾患患者157例.疾患内訳は筋萎縮性側索硬化症(ALS)が42例ともっとも多かった.造設中の合併症は一過性低酸素血症が最多であったが,緊急呼吸補助が必要になった症例はいなかった.侵襲的・非侵襲呼吸補助下のPEGはそれぞれ7例,2例あったが,いずれも安全に施行されていた.造設後6カ月以内の死亡は13例(ALS 9例)であった.神経疾患におけるPEGは総じて安全におこなわれているといえるが,ALSにおいては呼吸機能評価を十分におこない,早期にPEGをおこなうことが必要である.

(臨床神経, 47:565−570, 2007)
key words:経皮内視鏡的胃瘻造設術, 合併症, 筋萎縮性側索硬化症, 栄養サポート, 陽圧補助呼吸

(受付日:2007年3月12日)