臨床神経学

総説

新規コンフォメーション病,Seipin/BSCL2関連運動ニューロン疾患と小胞体ストレス

伊東 大介, 鈴木 則宏

慶應義塾大学医学部神経内科〔〒160-8582 東京都新宿区信濃町35〕

2004年,Windpassingerらにより遺伝性痙性対麻痺(SPG17)および遺伝性運動性ニューロパチー(dHMN-V)の原因がseipin遺伝子の変異であることが同定された.表現型の詳細な検討から,本疾患は同一変異,同一家系内でも多彩な臨床症状をとる運動ニューロン疾患であるとわかり,“seipinopathy”といった新しい疾患概念を導入することが適当と思われる.われわれの検討では,変異型seipinタンパク質は糖鎖付加が障害されて小胞体内に蓄積し,小胞体ストレスを介して神経変性を導いていることが示唆された.本総説では,seipin関連疾患の臨床像の解説とともに病態の分子機構を考察する.

(臨床神経, 47:329−335, 2007)
key words:小胞体ストレス, 運動ニューロン疾患, ユビキチン, プロテアソーム, 脂肪萎縮症

(受付日:2007年2月11日)