臨床神経学

短報

髄液から日本脳炎ウイルスが検出された無菌性髄膜炎の1例

細川 隆史1), 中嶋 秀人1)2), 高崎 智彦3), 杉野 正一1), 木村 文治1), 花房 俊昭1)

1)大阪医科大学第一内科〔〒569-8686 高槻市大学町2-7〕
2)清恵会病院内科
3)国立感染症研究所ウイルス第1部第2室

日本脳炎は日本脳炎ウイルスによっておこる重篤な急性脳炎と認識されているが,髄膜炎など脳炎以外の臨床病型についてはほとんど知られていない.今回,1993年から2005年までの夏季に発症した無菌性髄膜炎21例の保存髄液をもちいてPCR法にて日本脳炎ウイルス遺伝子の検出を試みたところ,1例で陽性であった.この症例は34歳男性で1998年7月に発熱,頭痛で発症し,安静,対症療法にて改善し,典型的な無菌性髄膜炎の経過を示した.夏季に発症する無菌性髄膜炎の中に,日本脳炎ウイルスが原因となる症例が存在する可能性が考えられた.

(臨床神経, 47:109−111, 2007)
key words:日本脳炎, 日本脳炎ウイルス, 無菌性髄膜炎, PCR

(受付日:2006年5月1日)