臨床神経学

症例報告

Interferon β-1b導入後に視神経脊髄型から通常型への病型移行がみられた多発性硬化症

神崎 真実1), 四茂野 はるみ2), 小川 剛1), 元吉 和夫1), 栗崎 博司2), 鎌倉 惠子1)

1)防衛医科大学校 内科3・神経内科〔〒359-8513 埼玉県所沢市並木3-2

2)独立行政法人国立病院機構東京病院 神経内科

48歳で発症した視神経脊髄型多発性硬化症の57歳女性例を報告した.十数回の再発寛解をくりかえし,9回目の入院時からInterferon(IFN)β-1b 800万単位の隔日投与を開始した.投与開始時のEDSSは6.0であった.投与開始約3カ月後,数日間の頭痛と発熱およびそれに続く左眼視力低下,歩行困難が出現し10回目の入院をした.著明な末梢血リンパ球減少と,頭部MRIでは前回までみられなかった大脳白質と右小脳の病変が検出された.IFN β-1b投与が増悪誘因の一つになった可能性を考え,一旦投与を中止した.その後数年にわたり経過を追い400万単位を2週に1回投与したところ,通常型MSの再発頻度は減少した.

(臨床神経, 47:100−104, 2007)
key words:多発性硬化症(multiple sclerosis;MS), interferon β-1b(IFN β-1b), 視神経脊髄型多発性硬化症, 通常型多発性硬化症, リンパ球減少症

(受付日:2006年6月20日)