臨床神経学

症例報告

くも膜下出血を契機に診断された脳アミロイドアンギオパチーの1例

立石 洋平, 芝崎 謙作, 井上 剛, 井口 保之, 木村 和美

川崎医科大学脳卒中医学〔〒701-0192 岡山県倉敷市松島577〕

症例は,右上肢の軽い不全麻痺で発症した77歳の男性である.来院時の頭部MRI・FLAIR画像で,前頭葉に原発性くも膜下出血をみとめたものの,同日の脳血管造影では明らかな異常血管をみとめなかった.第25病日に左皮質下出血を発症し,CTステレオ血腫吸引術を施行した.術中に採取された脳表の病理所見から脳アミロイドアンギオパチーと診断した.本例は,くも膜下出血で発症し,脳アミロイドアンギオパチーと診断しえた1例である.高齢者の非典型的な原発性くも膜下出血は,脳アミロイドアンギオパチーの可能性を考慮する必要がある.

(臨床神経, 47:42−46, 2007)
key words:脳アミロイドアンギオパチー, 原発性くも膜下出血, 高齢者

(受付日:2006年6月30日)