臨床神経学

短報

Anterior sacral meningoceleを合併し,細菌性髄膜炎を反復したMarfan症候群の1例

波多野 明子1)2), 秋山 克徳1)2), 永山 正雄3), 高木 繁治1)

1)東海大学医学部付属病院 神経内科〔〒259-1193 神奈川県伊勢原市望星台〕
2)現 東海大学医学部付属大磯病院 神経内科〔〒259-0198 神奈川県中郡大磯町月京21-1〕
3)横浜市立脳血管医療センター 神経内科〔〒235-0012 神奈川県横浜市磯子区滝頭1-2-1〕

細菌性髄膜炎を反復し不全型Currarino triadを呈したMarfan症候群の46歳,女性例を報告した.約半年で3回の細菌性髄膜炎を反復し当院へ転院した.腰椎MRIでanterior sacral meningocele(ASM)をみとめ,同部の3D-CTで仙骨内部の多発性骨欠損がみとめられた.抗生剤の点滴にて症状はすみやかに軽快したが,細菌性髄膜炎を反復しており外科的根治術に踏み切った.手術は髄膜瘤形成術にとどまったが予後良好であり,ASMを合併し細菌性髄膜炎を反復する症例には外科的根治術が考慮されるべきであると思われた.

(臨床神経, 46:658−660, 2006)
key words:Currarino triad, meningocele, 反復性細菌性髄膜炎, Marfan症候群

(受付日:2006年4月10日)