臨床神経学

短報

IgG抗カルジオリピン抗体高値をみとめ深部静脈血栓症をくりかえしたギラン・バレー症候群の1例

三好 安1), 安部 康信2), 小堀 伸一郎3), 辻 貞俊3), 三好 正堂1)

1)浅木病院神経内科〔〒811-4312 福岡県遠賀郡遠賀町浅木2-30-1〕
2)九州大学病態制御内科学〔〒812-8582 福岡県福岡市東区馬出3-1-1〕
3)産業医大神経内科〔〒807-8555 福岡県北九州市八幡西区医生ヶ丘1-1〕

症例は76歳女性である.ギラン・バレー症候群発症当初よりDダイマー値が上昇していたために,ヘパリン持続静注がなされた.68病日にワルファリン内服へ変更し,PT-INRは2.0前後を目標にした.103病日にエコーで左膝窩静脈に血栓がみつかり,106病日に肺血栓塞栓症を発症した.下大静脈フィルターが留置され,Dダイマー値も正常化した.167病日に両側大腿静脈に血栓を再発し,Dダイマー値の再上昇をみとめた.後にIgG抗カルジオリピン抗体が高値であることが判明した.ギラン・バレー症候群発症後に血栓性疾患が顕在化したことから,二次的に抗リン脂質抗体症候群を惹起した可能性が考えられた.

(臨床神経, 46:572−574, 2006)
key words:ギラン・バレー症候群, 抗リン脂質抗体症候群, 深部静脈血栓症, 肺血栓塞栓症, Dダイマー

(受付日:2006年2月20日)