臨床神経学

短報

後頭後頸部痛のみを呈し3次元CT血管像が診断に有用であった特発性椎骨動脈解離性動脈瘤の1例

大村 真弘, 寺井 正, 重野 幸次

静岡市立清水病院 神経内科〔〒424-8636 静岡市清水宮加三1231〕
現 国立循環器病センター 内科脳血管部門〔〒565-8565 大阪府吹田市藤白台5-7-1〕

症例は57歳の女性である.高血圧のため内服加療中であった.とくに誘因なく両側項部から後頭部にかけての非拍動性の持続する疼痛が出現した.頭痛は約3週間で自然寛解した.局所神経症状や項部硬直はみとめなかった.頭痛発症4週間後の頭部MRIでは左椎骨動脈にFLAIR画像にて高信号領域を呈する壁内血腫の所見をみとめた.MRAでは明らかな動脈瘤はみとめなかったが,3次元CT血管像では左椎骨動脈に脳動脈瘤をみとめた.臨床症状,MRIでの壁内血腫の所見とあわせて特発性解離性脳動脈瘤と診断した.頭頸部動脈解離では局所神経症状の出現に際し頭痛を呈することが知られているが,頭痛のみを呈した症例はまれであり報告する.

(臨床神経, 46:160−162, 2006)
key words:動脈解離, 椎骨動脈, 解離性動脈瘤, 頭痛, 頸部痛

(受付日:2005年5月14日)