臨床神経学

短報

骨髄移植後にmeningoradiculoneuropathyで再燃した急性リンパ性白血病

岩波 久威, 小鷹 昌明, 平田 幸一

獨協医科大学神経内科〔〒321-0293 栃木県下都賀郡壬生町北小林880〕

骨髄移植後に末梢神経症状を前景に再発した急性リンパ性白血病(ALL)を経験したので報告する.症例は21歳女性である.ALL寛解中であったが,下肢のしびれ感と歩行障害が出現し緩徐に進行した.項部硬直とLasègue徴候,下肢筋力低下と腱反射消失,靴下型の感覚障害をみとめた.病態をmeningoradiculoneuropathyと捉え,ALLの再発によるmeningeal leukemiaと診断した.寛解中であったとしても,潜在するmeningeal leukemiaを考慮に入れ,神経学的診察の重要性を強調したい.

(臨床神経, 46:157−159, 2006)
key words:急性リンパ性白血病, 髄膜・根・神経症, 髄膜白血病, 中枢神経系白血病

(受付日:2005年5月12日)