臨床神経学

原著

筋強直性ジストロフィーの経管栄養の長期予後

横山 照夫, 高橋 倫子, 土屋 一郎, 伊藤 博明, 石原 傳幸

独立行政法人国立病院機構 箱根病院 神経内科〔〒250-0032 神奈川県小田原市風祭412〕

目的:筋強直性ジストロフィー(MyD)患者の経管栄養についてその特徴を考察した.方法・対象:当院にて入院観察したMyD患者51名(男31人,女20人)を対象とし,経管栄養導入時期,導入理由,導入時の呼吸機能,運動機能,CTGリピートの延長,導入後の予後を検討した.結果:13名のMyD患者で経管栄養が導入された.経管栄養導入時期は57.9±8.3歳であった.導入理由はくりかえす肺炎が多くみとめられたが,中枢神経障害の関与も示唆された.経管栄養の導入により寿命は若干の延長をみとめたが,導入後の平均生存日数が約850日であった.導入時期とCTGリピート数の相関はみとめなかった.考察:MyD症例においては摂食・嚥下障害は疾患の終末期に増悪する問題であり,経管栄養の導入による寿命の延長はみとめられるものの経管栄養導入後の予後は不良であった.

(臨床神経, 46:119−121, 2006)
key words:筋強直性ジストロフィー, 嚥下障害, 経管栄養, CTGリピート

(受付日:2005年2月28日)