臨床神経学

短報

著明な自律神経障害を呈し,心肺停止をくりかえしたLewy小体型痴呆の1剖検例

岩崎 靖1)3), 横川 ゆき1), 饗場 郁子1), 吉田 眞理2)

1)国立病院機構 東名古屋病院 神経内科〔〒465-8620 名古屋市名東区梅森坂5-101〕
2)愛知医科大学 加齢医科学研究所 神経病理部門〔〒480-1195 愛知県愛知郡長久手町大字岩作字雁又21〕
3)現・名古屋大学医学部 神経内科〔〒466-8550 名古屋市昭和区鶴舞町65〕

著明な自律神経障害を呈したLewy小体型痴呆(DLB)の1剖検例を経験した.精神症状,痴呆,パーキンソニズムを呈した点はDLBとして典型的であったが,著明な自律神経障害がみられ,心肺停止をくりかえした点が特徴的だった.病理学的には迷走神経背側核,脊髄中間質外側核に神経細胞脱落とグリオーシス,Lewy小体の出現をみとめた点や,孤束核,縫線核のLewy小体とLewy neuriteの出現がめだった点,交感神経節に多数のLewy小体とLewy neuriteをみとめたにもかかわらず神経細胞はよく残存していた点が興味ある所見であった.

(臨床神経, 45:596−599, 2005)
key words:びまん性Lewy小体病, Lewy小体型痴呆, 自律神経障害, 起立性低血圧, 心肺停止

(受付日:2004年8月30日)