臨床神経学

短報

C型慢性肝炎に対するインターフェロンα療法後に生じたhypothyroid myopathyの1例

長根 百合子, 槍沢 公明, 木澤 英樹, 近藤 竜史, 寺山 靖夫

岩手医科大学神経内科〔〒020-8505 岩手県盛岡市内丸19-1〕

症例は59歳の男性である.C型慢性肝炎に対するインターフェロンα(IFN-α)療法の1カ月後から四肢筋力低下が出現し,6カ月間進行した.血清CK高値,TSH高値であり,FT3とFT4は低値,阻害型TSHレセプター抗体が陽性であった.筋生検では軽度の非特異的ミオパチー所見があり,甲状腺ホルモン補充療法のみで筋症状,血清CK値は改善し,hypothyroid myopathyと診断した.本例では甲状腺機能正常化,筋症状改善後も阻害型TSHレセプター抗体が陰性化しなかったことから,HCV感染によりすでに生じていた潜在的自己反応性が,IFN-α投与により活性化され発症した可能性もある.IFN-α療法後のhypothyroid myopathyの報告例はきわめて少なく,貴重な症例と考えられた.

(臨床神経, 45:441−444, 2005)
key words:hypothyroid myopathy, インターフェロンα, C型慢性肝炎, 阻害型TSHレセプター抗体

(受付日:2004年7月6日)