短報
分娩直後に脳内出血，くも膜下出血で発症したpostpartum cerebral angiopathyの1例
仙石 錬平1）, 井口 保之1）3）, 谷口 洋1）, 佐藤 浩則1）, 井上 聖啓2）
1）東京慈恵会医科大学附属柏病院 神経内科〔〒105-8461 東京都港区西新橋3-25-8〕
2）東京慈恵会医科大学 神経内科
3）現 川崎医科大学 神経内科 脳卒中部門
症例は32歳女性である．妊娠中毒症はなく妊娠経過は順調であったが，分娩直後から意識障害，左片麻痺が出現した．頭部CTで右被殻出血とくも膜下出血をみとめ，脳血管造影で多発性の血管狭窄像をみとめた．経過観察のみで症状は急速に改善し，脳血管狭窄像は完全に消失した．以上より本例を，postpartum cerebral angiopathy（PCA）と診断した．PCAは，薬剤投与歴がない正常分娩時にも発症しうる病態である．
(臨床神経, 45：376−379, 2005)
key words：脳内出血, くも膜下出血, 脳血管狭窄像, postpartum cerebral angiopathy
（受付日：2004年5月31日）
