臨床神経学

症例報告

タスク負荷時に運動皮質活動性低下を呈したゴルフ誘導性局所ジストニーの1例

田中 正人1), 大八木 保政1), 川尻 真和1), 谷脇 考恭1)2), 飛松 省三2), 古谷 博和1), 吉浦 敬3), 吉良 潤一1)

1)九州大学大学院医学研究院脳神経病研究施設神経内科〔〒812-8582 福岡市東区馬出3-1-1〕
2)同 医学研究院脳神経病研究施設臨床神経生理〔〒812-8582 福岡市東区馬出3-1-1〕
3)同 医学研究院臨床放射線科〔〒812-8582 福岡市東区馬出3-1-1〕

症例は45歳男性である.37歳頃よりゴルフ練習時に左上肢挙上困難を感じるようになり,ゴルフ中止後も左上肢がしばしば後方に偏奇するようになった.神経学的には,左上肢前方挙上時に上腕三頭筋などの近位筋に不随意収縮が生じ,局所ジストニーと診断した.局所ジストニー患者ではタスク負荷による一次運動皮質・補足運動野・運動前野の活性化亢進が報告されている.本例では経頭蓋磁気刺激による運動電位は両側誘発不能で,タスク負荷機能的MRIでは病側の一次運動野・補足運動野・運動前野の活性化が低下しており,局所ジストニーとしては特異な所見と考えられた.

(臨床神経, 45:304−307, 2005)
key words:局所ジストニー, 機能的MRI, 感覚運動皮質, 活動低下

(受付日:2004年5月28日)