臨床神経学

症例報告

Charcot-Marie-Tooth disease type 4F(Periaxin変異)の1家系

下畑 光輝1), 平原 潔1), 五十嵐 修一1)2), 原 賢寿1), 木島 一己4), 小野寺 理1)2), 田中 恵子1), 西澤 正豊1), 辻 省次3), 早坂 清4)

1)新潟大学脳研究所神経内科〔〒951-8585 新潟市旭町通1-757〕
2)新潟大学脳研究所付属生命科学リソース研究センター脳疾患リソース解析部門
3)東京大学大学院医学系研究科神経内科
4)山形大学医学部小児科

症例は51歳男性,両親血族婚,同胞に類症あり.幼少時より歩行困難,40歳代半ばより握力が低下し,度々転倒するようになった.神経学的に四肢遠位の筋力低下,筋萎縮,凹足,四肢深部腱反射消失,両側下肢感覚障害をみとめ,常染色体劣性Charcot-Marie-Tooth病(CMT病)をうたがった.運動神経伝導速度は著明に遅延し,感覚神経誘発電位は導出されず.腓腹神経の組織学的検査では,有髄線維密度の低下と髄鞘菲薄化が主な所見であった.遺伝子解析ではCMT4Fの病因遺伝子Prxに,Arg 1070 Stopホモ接合体変異をみとめた.CMT病は臨床所見のみでの病型診断は困難であり,詳細な遺伝子解析が必要と考えられた.

(臨床神経, 45:221−225, 2005)
key words:Charcot-Marie-Tooth病, 常染色体劣性遺伝, 脱髄, ぺリアキシン, 遺伝子解析

(受付日:2004年4月21日)