臨床神経学

短報

タクロリムスが有効であった多発筋炎の1例

上木 英人1)2), 山口 滋紀1), 瀬川 文徳1), 黒岩 義之3)

1)横浜市立大学医学部附属市民総合医療センター神経内科〔〒232-0024 横浜市南区浦舟町4-57〕
2)藤沢市民病院神経内科
3)横浜市立大学医学部神経内科

間質性肺炎をともなう多発筋炎に対してステロイド単独投与では効果が不十分であり,タクロリムスを加えることで寛解をえてステロイドを早期に漸減することができた57歳の女性例を報告した.筋力低下は改善し,呼吸機能検査上も%肺活量の改善をみとめたが,間質性肺炎自体は著変なく,呼吸筋障害を改善することで呼吸器症状の緩和,ADLの維持が可能と考えられた.また早期にステロイド減量が可能であり,長期使用にともなう副作用を回避することができた.タクロリムスはステロイド抵抗性の多発筋炎・皮膚筋炎に対する治療薬として有用であり,今後治療法の選択肢の一つとして加えるべきである.

(臨床神経, 45:121−124, 2005)
key words:多発筋炎, 間質性肺炎, ステロイド抵抗性, タクロリムス

(受付日:2004年3月2日)