臨床神経学

短報

筋強直性ジストロフィーでの息こらえによる息苦しさの検討

村上 泰生1)2), 大矢 寧1), 小川 雅文1), 川井 充1)

1)国立精神・神経センター武蔵病院神経内科〔〒187-8551 小平市小川東町4-1-1〕
2)現 東京慈恵会医科大学神経内科〔〒105-8471 港区西新橋3-19-18〕

筋強直性ジストロフィー(MyD)患者はいちじるしい低酸素状態になっても呼吸困難感を訴えないことが多い.MyD患者9名と健常人8名に息こらえをおこなわせ,息苦しさの感じ方をくらべた.患者でも健常者と同様に息苦しさを訴え,経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)は低下した.MyD患者の息こらえによるSpO2最低値は,24時間モニタリングのSpO2最低値より高かった.息こらえ試験では,MyD患者の日常生活の中でみられる低酸素状態に対する感受性の低下(呼吸困難感の欠如)は評価できないが,実際に生じている低酸素状態の重大性を実感させるには有用である.

(臨床神経, 45:117−120, 2005)
key words:筋強直性ジストロフィー, 息こらえ, 低酸素血症, 呼吸困難感

(受付日:2004年1月26日)