臨床神経学

症例報告

Spinocerebellar ataxia type 2(SCA 2)における前頭葉機能障害と3D-SSP SPECT所見

下畑 享良1), 松澤 陽子1), 田中 孔明1), 小野寺 理2), 田中 惠子1), 西澤 正豊1)

1)新潟大学脳研究所神経内科〔〒951-8585 新潟市旭町通1番町757番地〕
2)新潟大学脳研究所生命科学リソース研究センター

SCA2の2症例の高次脳機能障害について検討をおこなった.症例1では病識の欠如とGegenhaltenをみとめ,症例2では感情失禁をみとめた点が特徴的であった.いずれの症例もHDS-R,MMSEでは明らかな異常をみとめなかったものの,WAIS-RやWisconsin card sorting testの結果から知能低下と遂行機能障害の存在がうたがわれた.頭部MRIではいずれの症例も大脳萎縮をみとめなかったが,3D-SSP SPECTでは小脳・脳幹に加え両側前頭葉の血流低下をみとめた.以上よりSCA2では比較的早期から前頭葉機能障害を呈しうること,ならびに3D-SSP SPECTはその評価法として有用であることが示唆された.

(臨床神経, 45:22−26, 2005)
key words:Spinocerebellar ataxia type 2, SCA2, 前頭葉機能障害, SPECT, 3D-SSP

(受付日:2004年1月29日)