臨床神経学

短報

頭頸部の先天的な血管奇形をともなう患者に出現した頸髄症

内藤 康介1), 大屋 房一2), 武井 洋一1), 山本 寛二1), 池田 修一1)

1)信州大学医学部第三内科〔〒390-8621 長野県松本市旭3-1-1〕
2)同 脳神経外科

頭頸部の先天的な血管奇形があり,左上肢脱力で発症した頸髄症の1例を報告した.脳脊髄血管造影では,走行異常をみとめる左椎骨動脈から脳底動脈,両側後大脳動脈,後交通動脈を介して両側中大脳動脈が造影された.本例の頸髄症の発症機序として,先天的な血管奇形にともなっておきた,前脊髄動脈の血行力学的循環不全が,上部頸髄の虚血をひきおこした可能性が考えられた.

(臨床神経, 44:623−625, 2004)
key words:頭頸部血管奇形, 前脊髄動脈, 脊髄虚血

(受付日:2003年10月14日)