臨床神経学

症例報告

HCVおよびHTLV-1感染をともないインターフェロンα治療後に発症した封入体筋炎の1例

蕨 陽子1), 松原 四郎1), 水谷 俊雄2), 林 秀明1)

1)東京都立神経病院神経内科〔〒183-0042 東京都府中市武蔵台2-6-1〕
2)同 検査科

輸血によるC型肝炎ウイルス(HCV)およびヒトT細胞白血病ウイルス-1型(HTLV-1)抗体陽性の一例で,C型慢性肝炎に対するインターフェロン(IFN)α治療後に封入体筋炎(IBM)が発症および再発した.まずHCVおよびHTLV-1感染から40年後,2回目のIFNα治療終了後にIBMを発症し,さらに3回目のIFNα治療開始直後にIBMが再発した.IFNα治療とIBM発症および再発には時間的に密接な関連があったことから,本例はウイルス感染症によりIBMを発症しやすい免疫学的病態にあり,IFNα治療がIBMの発症および再発に直接関与した可能性を考えた.IFNα治療に関連したIBMの最初の報告であり貴重な症例と考えた.

(臨床神経, 44:609−614, 2004)
key words:封入体筋炎(IBM), C型肝炎ウイルス(HCV), ヒトT細胞白血病ウイルス-1型(HTLV-1), インターフェロンα(IFNα)

(受付日:2004年1月6日)