臨床神経学

原著

多発性硬化症80例の神経眼科学的検討

津田 浩昌1), 石川 弘2), 松永 華子2), 水谷 智彦1)

1)日本大学医学部内科学講座神経内科部門〔〒173-8610 東京都板橋区大谷口上町30-1〕
2)同 眼科学教室

1980年4月から2003年10月に日本大学板橋病院神経内科に入院した多発性硬化症の連続80例を検討した.全例が眼科を受診しており,49例に眼症状がみられた.視覚系障害は,球後視神経炎26例,同名性半盲2例であった.球後視神経炎の初発眼は,33眼中25眼が0.1以下の高度視力障害を呈したが治療反応性は高く,17眼が1.0以上に改善した.再発眼では治療反応性は低下し,全例で視力障害,視神経萎縮,色覚障害が残存した.同名性半盲は2例とも完治した.眼球運動系障害は29例にみられ,核間性眼筋麻痺,外転神経麻痺,眼振,斜偏倚,注視麻痺の順に多く,28例が完治した.

(臨床神経, 44:513−521, 2004)
key words:多発性硬化症, 眼症状, 視神経炎, 眼球運動障害

(受付日:2004年2月2日)