臨床神経学

症例報告

骨病変切除と放射線照射が奏効したCrow-Fukase症候群の1例

頼高 朝子, 酒井 美和, 大田 恵子, 岸田 修二

都立駒込病院神経内科〔〒113-8677 東京都文京区本駒込3-18-22〕

症例は57歳女性である.胸水,心嚢水,肺高血圧症,肝脾腫,リンパ節腫大,浮腫,多毛剛毛,皮膚色素沈着,血管腫,多発神経障害をみとめCrow-Fukase症候群と診断した.左第2肋骨に骨硬化性病変をみとめ切除後,断端に放射線照射した.VEGFは術前値の1/2以下に低下(5,180から2,150 pg/ml)している.透過性亢進によると思われる胸水,心嚢水は手術直後より消失,神経障害の改善に次ぎ,血管床の増大によると思われる剛毛の消失をみとめた.切除組織は,plasmacytoma IgGλ型であった.切除した組織抽出液中のVEGFは116 pg/mlと血中に比較すると低値であり,plasmacytomaから直接産生されていないことの裏づけとなった.

(臨床神経, 44:369−371, 2004)
key words:Crow-Fukase症候群, POEMS症候群, VEGF, 骨切除術

(受付日:2003年11月27日)