臨床神経学

原著

脳出血内科治療例の急性期転帰推定とクリティカルパスの作成

豊田 一則1), 岡田 靖1), 藤本 茂1), 長谷川 泰弘3), 井林 雪郎4), 井上 亨2)

1)国立病院九州医療センター脳血管センター脳血管内科・臨床研究部〔〒810-8563 福岡市中央区地行浜1-8-1〕
2)同 脳血管センター脳神経外科
3)国立循環器病センター内科脳血管部門
4)九州大学大学院医学研究院病態機能内科学

脳出血急性期内科治療患者の急性期転帰を推定しえる因子を解析するとともに,その成績に基づいて合理的なクリティカルパスを作成することを目的とした.脳出血内科治療連続50例の日常生活自立,自宅退院,死亡退院を推定する上でNIH Stroke Scaleが有用であり,4点以下,7点以下,23点以上が各々のカットオフ値として適していた.この値に基づき一部血腫量も加味して,重症度に応じた3段階のパスを作成した.在院日数として16,20,28日を設定して,循環器病研究委託費12公―10班登録症例200例にこのパスを当てはめ,在院日数の妥当性を検討したところ,登録症例の過半数が目標在院日数を5日以上超過していた.医療の標準化や効率化が重視される現状で,地域完結型医療における脳卒中急性期診療へのクリティカルパス導入は不可欠である.今回のパスを実地臨床で運用,かつ早期に見直し改善をおこなうことで,急性期脳出血の標準的内科治療のエビデンス作りへ貢献できると考える.

(臨床神経, 44:342−349, 2004)
key words:脳出血, 機能予後, NIH Stroke Scale, クリニカルパス, リハビリテーション

(受付日:2003年7月19日)