臨床神経学

症例報告

脳梗塞を発症した高齢神経サルコイドーシスの1例

中垣 英明1), 古屋 淳一朗1), 永田 倫之1), 小鳥居 聡1), 長野 祐久1), 東野 琢也2), 吉開 俊一2), 中西 和夫3), 山田 猛1)

1)麻生飯塚病院神経内科〔〒820-8505 福岡県飯塚市芳雄町3-83〕
2)同 脳神経外科
3)同 病理

サルコイドーシスの経過中に脳梗塞を発症した75歳女性例を経験した.70歳時に両側肺門リンパ節腫大と血清ACE高値,ぶどう膜炎からサルコイドーシスと診断され,無治療で経過観察されていた.75歳時に脳梗塞で当科に入院した.入院直後より精神症状があり,約2週間後から意識レベルが低下した.神経サルコイドーシスをうたがい脳生検をおこなったところ,小血管周囲に類上皮細胞からなる非乾酪性肉芽腫をみとめた.神経サルコイドーシスと診断しプレドニゾロン投与をおこなったところ,意識障害は著明に改善した.サルコイドーシスに脳血管障害を合併したばあい,高齢者であっても神経サルコイドーシスを念頭において診断・治療をおこなうべきである.

(臨床神経, 44:81−85, 2004)
key words:神経サルコイドーシス, 脳梗塞, 脳症, プレドニゾロン

(受付日:2003年4月27日)