臨床神経学

短報

急性自律性感覚性ニューロパチーにおける脊髄MRIの経時的変化

深田 育代, 涌谷 陽介, 栗原 彩子, 安井 建一, 竹島 多賀夫, 中島 健二

鳥取大学医学部脳神経内科〔〒683-8504 鳥取県米子市西町36-1〕

急性自律性感覚性ニューロパチー(Acute Autonomic and Sensory Neuropathy;AASN)は,急性炎症性ニューロパチーの一亜型であり,予後不良といわれている.死亡例の病理学的検討では脊髄後根・後根神経節の広範な病変に加え,脊髄後索の脱髄・変性所見が報告されている.今回われわれは,AASNの一例において脊髄MRIを経時的に観察した.本例は,発症約11カ月後の脊髄MRIT2強調画像で,上部頸髄から下部胸髄にかけて脊髄後索に連続性高信号を呈した.この所見は神経症状の改善と共に減弱し,さらに,自立歩行が可能となった発症2年後にはほぼ消失した.この脊髄MRI所見の改善は,AASNの脊髄後根・後根神経節および脊髄後索の障害が可逆的に回復しうることを示す重要な所見と考えられた.

(臨床神経, 44:102−104, 2004)
key words:急性自律性感覚性ニューロパチー, 慢性期, MRIT2強調画像, 脊髄後索, 可逆性

(受付日:2003年3月6日)