臨床神経学

短報

再発性横紋筋融解症を呈し,生検筋の免疫染色により診断しえた骨格筋型極長鎖アシルCoA脱水素酵素(VLCAD)欠損症の1例

坂田 尚広1), 川井 元晴1), 森松 光紀1), 大橋 裕子2), 西野 一三2), 長谷川 有紀3), 山口 清次3)

1)山口大学医学部脳神経病態学講座〔〒755-8505 山口県宇部市南小串1-1-1〕
2)国立精神・神経センター神経研究所疾病研究第一部
3)島根医科大学小児科

再発性横紋筋融解症を呈し,生検筋の免疫染色により診断しえた骨格筋型極長鎖アシルCoA脱水素酵素(VLCAD)欠損症の1例を報告した.症例は18歳女性である.15歳より運動後に横紋筋融解症を数回くりかえしていたが,原因不明であった.生検筋の抗VLCAD抗体による免疫染色,アシルCoA脱水素酵素活性測定にてVLCAD欠損症と診断した.姉も横紋筋融解症を少なくとも2回くりかえしており,遺伝子解析にて同症と診断された.原因不明の再発性横紋筋融解症を示す患者においては本症を考慮する必要があると考えられた.また本症例は免疫染色にて診断が確定した初の報告例である.免疫染色は本症を鑑別する際には,有用な診断法となると考えられる.

(臨床神経, 43:568−570, 2003)
key words:横紋筋融解症, 極長鎖アシルCoA脱水素酵素, 免疫染色

(受付日:2003年6月2日)