短報
外眼筋麻痺と失調性ニューロパチーを呈したミトコンドリアミオパチーの1例
眞野 篤1）, 菊川 公紀1）, 土屋 俊晶2）, 田中 恵子3）, 田中 正美1）
1）国立療養所西新潟中央病院神経内科〔〒950-2085 新潟市真砂1-14-1〕
2）同 内科
3）新潟大学脳研究所神経内科分野
症例は70歳女性である．28歳頃より，話しにくさやふらつきが出現した．神経学的には両側視神経萎縮，眼瞼下垂，全方向性の眼球運動制限，不明瞭発語，嚥下障害，近位筋優位の軽度の筋力低下と筋萎縮，深部覚優位の手袋―靴下型の感覚症状，失調性歩行がみとめられた．小脳失調はなかった．筋生検で多数のragged red fiberおよびチトクロームC酸化酵素（CCO）活性陰性線維がみとめられ，神経生検では大径有髄線維の著明な脱落がみとめられた．本例は失調性ニューロパチーを主体としたミトコンドリア病と考えられ，SANDO（sensory ataxic neuropathy，dysarthria，ophthalmoparesis）に属する疾患と思われた．
(臨床神経, 43：564−567, 2003)
key words：ミトコンドリアミオパチー, 外眼筋麻痺, 失調性ニューロパチー
（受付日：2003年4月7日）
