臨床神経学

原著

非外傷性頭蓋内内頸動脈解離―自験6例と文献的考察―

南雲 清美1)*, 中森 昭敏2)**, 小島 重幸3)

1)七沢リハビリテーション病院脳血管センター神経内科〔〒243-0121 神奈川県厚木市七沢1304〕
2)同 放射線科
3)松戸市立病院神経内科
 現 松戸市立病院神経内科〔〒271-8511 千葉県松戸市上本郷4005〕
**現 横浜市立脳血管医療センター放射線科

非外傷性の頭蓋内内頸動脈解離を呈した自験6例と,文献39症例(41例)の45症例(47例)の臨床所見の検討をおこなった.頻度は脳梗塞の0.63%,若年性脳梗塞の13.9%を占めた.発症年齢は平均22.7歳と若年で,運動中,飲酒後に発症が多く,発症時頭痛を66%にともなった.脳梗塞は77%,くも膜下出血は4%を占めた.脳血管造影所見では動脈解離は眼動脈分岐直後から始まり,解離所見はirregular stenosisとstenosisが66%にみられた.自験1例でMRAでsupraclinoid ICAに狭窄をsource imageで壁内血腫をみとめた.予後は1987年以降の31例中good recoveryが61%を占め,予後不良とはいえない結果がえられた.

(臨床神経, 43:313−321, 2003)
key words:頭蓋内内頸動脈解離, 動脈解離, 若年性脳梗塞, くも膜下出血, MRI

(受付日:2002年10月11日)